α-リポ酸誘導体:パワフルな抗酸化物質


酸素毒と称する活性酸素は、遺伝子を傷つけガン、糖尿病など多くの疾病原因とされています。生体は常にその余分な活性酸素を消去しようとし、体内に存在する還元酵素、グルタチオンペルオキシダーゼ、カタラーゼ、SOD、グルタチオンなどが働き、老化防止、並びにその生命体を維持しています。 しかし、老齢化が進むと生体の還元酵素の合成系が衰退し、活性酸素の標的になりやすくなります。活性酸素・フリーラジカルから生体を守るためにビタミンE、ビタミンC、カロテインなどの抗酸化ビタミン並びに、コエンザイムQ10やα-リポ酸の補給が推奨されています。

α-リポ酸は細胞中ミトコンドリアに存在する補酵素で、抗酸化能を有し、酸化ストレスによる種々の病態の治療、例えば、糖尿病、動脈硬化症、白内障などの治療薬として注目されています。また、α-リポ酸には直接の還元作用はない(in Vitro)が、細胞内では一部還元型のジメルカプトオクタン酸(ジヒドロリポ酸)となり、分子内に2個のSH基を持ちメラニン生成の抑制作用が強く、化粧品としても美白作用の強い化合物です。しかし、製剤面で酸化、重合、脱硫反応など経時的に不安定要素があります。

ヒスチジンジチオオクタナミド
 
弊社が美白を目的として開発したα-リポ酸誘導体のヒスチジンジチオオクタナミド(Na/亜鉛)(1)は、その不安定要素を解決し、更にα-リポ酸を活性化へと導いた化合物です。具体的には、α-リポ酸と必須アミノ酸のL-ヒスチジンを混合酸無水物法によって縮合させて、N-リポイルヒスチジンを収率よく得、更に亜鉛で還元すると同時に亜鉛キレート化合物、即ち、酸化を防止させるためにS-S間に親和性の高い亜鉛で架橋させ、還元性を維持しながら安定化に成功しました(定量はヨウ素滴定)。ヒスチジンジチオオクタナミド(Na/亜鉛)は、水溶性で還元性を示し、他の還元剤、例えばハイドロキノン、ビタミンC、システインやグルタチオンなどと異なり、空気中で酸化されず、特異的に活性酸素・フリーラジカルを強く消去(DPPH, IC50:26μM)させる理想的な化粧品新素材です。 

チャートに示したように、ヨウ素や活性酸素に酸化されて還元作用が失われても、N-リポイルヒスチジン(2)となり、なお抗酸化作用を示すのが大きなメリットです。 ヒスチジンジチオオクタナミド(Na/亜鉛)の特徴は紫外線(UV)により活性化される酵素チロシナーゼ活性を強く阻害し、またメラニン予備軍等を抑制してメラニン産生を抑制するばかりでなく、更に還元力と抗酸化作用でシミ、ソバカスなどのメラニン色素を固着度合によっては徐々に消去させる新しいタイプの化合物です。 更に、皮膚のたるみ、しわの原因とも云われる活性酸素・フリーラジカルを消去させ、新陳代謝を活発にして肌荒れの原因を抑えるアンチエイジング作用があります。

その他、α-リポ酸誘導体亜鉛キレート化合物に強力な5α-リダクターゼ阻害作用を有することが分かっております。